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 軍事クーデタか、暗殺か、失脚。ほかに考えられるシナリオはないのでは?福島香織『赤い帝国 中国が滅びる日』

宮崎正弘氏のメルマガより書評。

 胡麻擂り軍人が二階級特進したが、江沢民系の軍人は退役へ追い込まれ
  軍事クーデタか、暗殺か、失脚。ほかに考えられるシナリオはないのでは?

   ♪
福島香織『赤い帝国 中国が滅びる日』(KKベストセラーズ)
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 大胆な題名、繊細な描写。手に汗を握るサスペンス小説さながら、中国の奥の院で繰り広げられているどろどろした野心の衝突、権力闘争、利権の奪い合いをあますところなく描いて、チャイナリスクの本質を抉り出した。
 すなわち「習近平政権自身がチャイナリスク」(14p)である。
 周り総てを習近平自身が敵に回した。これって、くそ度胸?
こうなると暗殺されるか、クーデタに潰えるか、いや、習近平自身がひょいと立場を変えてある日突然、「中国のゴルバチョフ」になるか?
それともフルシチョフのように唐突に「解任」されて、失脚するか。
円満退任という筋書きは可能性の中で一番低いのではないか。
 じつは、このシナリオを、評者(宮崎)と福島さんとの共著『暴走する中国が世界を終わらせる』(ビジネス社)でも、かなりつっこんで討論をしたほどに、喫緊のテーマなのである。
 すでに習近平と王岐山への暗殺未遂は十数回おきている。

 まず中国の現況はと言えば「いま行っている思想統制や言論弾圧、人権弾圧は世界でも屈指の激しさであり、法治の下の平等などな存在しない。中国の価値観とルールに従わねばならない日を想像するとぞっとしないか。私ならば、この『赤い帝国』の野望を阻みたい」
と福島さんは立ち位置を明確にしている。
 反腐敗キャンペーンによる『蠅も虎も』は、軍のトップだった徐才厚と郭伯雄らを逮捕起訴して失脚させ、軍の組織再編を断行して、軍を習がトップとなるピラミッド体制に改変し、さらに30万人の軍人を馘首する。つまり、習に敵対しそうな軍人を片っ端から、ごっそりと排除したわけだ。
 これが七大軍管区を五大戦区としたリフォームの本質の部分であり、不評さくさくなのである。
 とりわけ「30万人中17万人は、陸軍の江沢民系、徐才厚系、郭伯雄系らの将校クラスのようだ」(134p)。
逆に習にゴロニャンと尻尾をふって、くっついてきた軍人のなかには実力もないのに二階級特進が目立ち、軍の不満は急拡大し、先週には軍事委員会本部ビル前で座り込み事件まで起きた。
 上海派という江沢民につながる人脈を追いやり、ついで団派人脈を切り捨て、三者鼎立のバランスのうえに立っていて胡錦涛政権の遣り方を否定して、とどのつまり、まわりを全部敵にした。
 李克強首相から経済実権を取り上げ、しかし7%成長を遂げられない場合(それは確実だが)、李に責任を取らせようと強硬路線を突っ走る。
 経済は壊滅状態、中国の債権はGDPの330%、崩壊は秒読みというところだが、あら不思議、主要都市の不動産価格が上昇している。
 これは不正操作であることは明白だが、こんな手口もあることを福島さんは紹介している(186p)。
 「投機者と銀行、デベロッパーが共謀して、実際の不動産価格に見合わない高値をつけて、投機者は実施の価格に見合わない不動産を担保に融資を受けて、その融資されたカネのうちから、デベロッパーからキックバックを貰う。融資は最初から返済するつもりがなく、銀行側は、それをわかったうえで、融資し、担保となった不動産と差し押さえるということになる。こういったカラクリから、二束三文の不動産まで法外な価格で取引される状況が起きている一面もある。この結果起きるのは、銀行の不良債権の増大である」。
 ならば習近平を命がけで守る勢力はいるかと言えば、大きなクエスチョンマークがつくだろう。
 そのうえ、福島さんは重要なことを指摘する。
 身内の『太子党』からさえも、習近平は完全に浮き上がって「ほとんど友だちがいない」という淋しい状態になった(96p)。
 「習近平の共産党秩序も長幼の序も無視した権力闘争の結果、これまで彼を支持していた人たちは離れている。或いは敵に回り、親子二代にわたって暖めてきた信頼関係も失い、習近平を恐れて服従する者や習近平の出世にあやかって自分の野心を成就させようという子分や取り巻きはいても、ともに高い目標に向かって協力し合うパートナーも、背中を預け合うような同胞も、耳の痛いアドバイスをあえてしてくれる親友もいない」
孤立無援状態となって、習近平の周りのブレーンさえも面従腹背、政権内部はささくれだっている。
 太子党をささえるトウ小平一族、劉少奇一族、趙紫陽一族、そして胡耀邦一族が離れていった。
「軍師」だった劉源が去った。胡耀邦の息子の胡徳平もさっと習から去った。
 このまま行けば、習の暴走はやまず、国民と軍の不満をガス抜きするためにも、戦争をはじめるだろう。
危機は以前よりはるかに高くなっており、尖閣諸島のキナ臭さは、ますます強くなっていくだろう。
 しからばどうするか、それが本書のなかに示唆されている処方箋である。 
(以上)



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