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【韓国消滅】 【軍事ワールド】どうなる北朝鮮、 米国の選択は― カギは“電子戦”

【軍事ワールド】どうなる北朝鮮、 米国の選択は― カギは“電子戦”・・・産経新聞より
5月9日


 ついに米原子力空母カールビンソンが日本海に入り、活動を開始した。一方トランプ米大統領は4月26日、ホワイトハウスで、北朝鮮への対応について上院議員全員に説明する異例の会合を開き、ティラーソン国務長官やマティス国防長官が「今後の対応の選択肢」について説明を行った。米マスコミは韓国の首都ソウルが“人質”にとられていることを背景に、北朝鮮に核とミサイルを放棄させることの困難さを指摘する。手詰まりにも見える状況のなか、米軍には複数の選択肢がある。(岡田敏彦)

反撃を封じる

 トランプ政権の目標は、北朝鮮に核と弾道ミサイルの開発を諦めさせ、朝鮮半島の非核化を実現させることだ。北朝鮮が弾道ミサイルに搭載できるほど核兵器を小型化する前に対処しなければ、米本土すら“射程圏”に入るため、本腰を入れて対応に乗り出した。

 一方、米マスコミやアナリストは、軍事作戦による目標達成は難しいとの見方を示していることは過去の本稿( http://www.sankei.com/west/news/170328/wst1703280004-n1.html )で報じた(下記をクリック)。

 いわく、戦争になれば米軍が勝つのはまちがいない▽核施設を破壊するのは可能▽しかし核開発の決意の固い最高指導者の金正恩氏を“除去”するには、その所在特定が困難-というもの。なかでも最大のネックは、「北朝鮮は必ず反撃してくる」というものだ。韓国のソウルを多数の長距離砲で攻撃し、弾道ミサイルを韓国や日本に飛ばす可能性もある。これらのリスクを考えれば、シリアに巡航ミサイル59発を打ち込んだように先制攻撃で敵軍事力を無力化することは困難-というものだった。

 実際、多くのマスコミで報じられる“危機”は主に「北の反撃を無力化するのは困難」という点に尽きる。手詰まり感は否めないが、歴史を振り返れば、米軍には複数の“恐るべき”選択肢がある。

電子妨害

 カール・ビンソンなどの原子力空母を中心とした空母打撃群が持つ攻撃能力のひとつは、敵のレーダーなど情報網を妨害しながら、つまり「目つぶし」をしながら行う精密爆撃だ。電子戦機のEA-18Gグローラーが敵レーダーを妨害し、戦闘爆撃機FA-18スーパーホーネットが攻撃を行う。

 電子戦といっても自機を防衛する(具体的には、敵レーダーの信号を改ざんして別位置を示させる)ものから、レーダーの一部エリアを“真っ白”にするものまで数種あるが、米国はこの分野で他国の追随を許さない。

 日本でさえ、米国製F-15戦闘機を導入する際に電波妨害装置(TEWS=戦術電子戦システム)は現物供与も技術情報開示も行われず、国内開発した。ドイツでも同様で、自前の電子戦ポッド「ケルベロス自衛妨害装置」を開発している。

 しかも米軍はイージス艦で固く守られた空母打撃群の大型艦船を沿岸にまで進出させ、強力な出力の無線電波で北朝鮮の軍用無線を妨害し、欺瞞(ぎまん)情報を流すことができる。

 さかのぼれば、第二次大戦末期のドイツでは連合軍による夜間の都市爆撃に対抗するため、レーダー網を張り巡らせ、探知エリアはごく狭いながら機上レーダーを備えた夜間戦闘機を大量配備した。

 地上の大型レーダーで爆撃機の編隊を捕らえ、無線で迎撃戦闘機隊に位置を知らせて誘導するのだ。これに対し連合軍は、レーダーを妨害する「チャフ」(短冊状のアルミ箔片)と欺瞞放送で対抗した。ドイツのレーダーを無効化し、偽の通信指令でドイツ戦闘機隊をでたらめの位置に誘導するなど、ドイツ防空網をかき乱して味方の爆撃機隊を守った。73年前にして電子戦を実施していたのだ。

 こうした電子戦能力が米軍の最大の強みだが、もうひとつ重要なカギがある。それはトランプ氏の「次に何をするのかわからない」という意外性だ。ジェームズ・マティス国防長官をはじめ政権内部の元軍人たちどころか、トランプ氏までが、虚実織り交ぜた多くの情報を“敵”に与えて、情勢判断と的確な対応を不可能にさせるとの思考(OODAループ)を重視すると、欧米メディアでは目されている。

 これを踏まえれば、米軍の可能な、そして“恐るべき”攻撃シナリオは見えてくる。

指揮系統の無効化

 まずステルス攻撃機で空爆する目標は、核施設でもミサイル基地でもなく、ダムと発電所、そして通信網とする選択肢がある。朝鮮半島が日本統治下にあったころ日本が作った水豊ダムは当時「東洋一のダム」と呼ばれ、今も北朝鮮の重要な電力エネルギー源だ。

 朝鮮戦争(1950-53)時にも爆撃で一部破壊されたことがあるが、こうした北朝鮮内の複数の水力発電ダムと無線施設、電話交換施設など通信施設を破壊すれば、ダム下流域に混乱を引き起こし、かつ韓国との国境線沿いに配置された部隊と首都平壌の司令部をつなぐのは、出力の低い無線だけとなる。米軍が本格的に無線妨害を実施すれば、北の最高指導部には「何が起こっているのか」すらわからなくなる。

 巷に言われる「斬首作戦」は、米海軍特殊部隊(ネービーシールズ)などが正恩氏を強襲・排除するものだが、こうした物理的な排除を不可欠かつ最優先とする必然性はない。まずは「いないも同然」にすればよいのだ。

隠れた大砲を探す

 同時にグローラーとスーパーホーネットで構成された攻撃部隊、さらに在韓米空軍の攻撃部隊が北朝鮮上空に侵入し、地対空ミサイルなどの防空網を無力化しつつ、核施設や弾道ミサイル発射施設を破壊する。固定施設の破壊は巡航ミサイルも受け持つ。問題は、米マスコミも危惧する移動式の弾道ミサイル発射車両と、北朝鮮-韓国国境に配備され、至近の韓国首都ソウルを砲撃できるとされる多数の長距離砲だ。

 北朝鮮は4月26日、多数の自走砲を海岸に並べ砲撃訓練する写真を公開した。長距離砲を多数保有しているとのアピールが極めて有効だと、北朝鮮側が認識しているが故の公開だ。

 実際に横穴やトンネルに隠れた弾道ミサイル車両と長距離砲を破壊するのは、ほぼ24時間かかると見る米専門家もいる。

 一方、実際には偵察衛星情報のほか、かねてから「謎の宇宙機」として騒がれている無人機X-37などが情報を収集している可能性もあり、ほとんどを空爆や地上攻撃機A-10で処理できるとの推定もできる。弾道ミサイルは日米のイージス艦が装備する「SM3」と、日本各地に配備された「PAC3」迎撃ミサイルで対処できるだろう。テストでの迎撃率は過去の本稿( http://www.sankei.com/west/news/160301/wst1603010005-n1.html )でも示したが、PAC-3のプログラム更新型で迎撃率100%の数字がある(下記をクリック)。

 だが、そうした対応以前に「撃たせない」方法も存在する。それは、北朝鮮の逃れられない性でもある。

 北朝鮮軍の正式な指揮命令系統を破壊したうえで、欺瞞放送を流した場合はどうなるだろうか。

情報戦

 韓国との国境(非武装地帯)近くでソウルへの砲撃の任を担う部隊が、こうした“攻撃”を受ければ突然電力供給がストップし、無線も妨害され、指揮系統から孤立する。雑音だらけの無線機から、かすかに「首都が集中爆撃を受けた」「偉大なる指導者、金正恩同士は勇敢な最後を遂げた」といった真偽不明の放送が次々と聞こえてくる。地方の部隊が分かることは、国内のどこかで何らかの攻撃を受けたということだけだ。

 しかし正式な命令系統から発せられた命令なしにソウルを砲撃すれば、「米帝に戦争の口実を与えた」として後に粛清されかねない。

 金氏は、命令に反したとして最高幹部の張成沢(チャン・ソンテク)国防委員会副委員長すら機関砲で粛清したということを、北朝鮮軍人らは肝に銘じているだろう。無線を妨害され欺瞞命令が飛び交うなかでは、金氏の側近の命令でさえ、現場は迂闊に信じられない可能性もある。個人による独裁の弊害だ。

攻守が入れ替わる

 別の側面から見れば、北朝鮮の限界も浮き彫りとなる。北朝鮮の目標は、米本土に届く核兵器搭載の弾道ミサイルを実用化し、朝鮮戦争を終結させる平和条約を米国などと結び、貿易を可能とし国家体制を存続させることだ。

 その目標をまだ達成していない現在、日本やソウルを前述したような方法で攻撃すれば、米軍が全面的な攻撃を行うのは確実だ。現在「同胞を攻撃はしないだろう」と楽観的な韓国世論も、実際に砲撃を受ければ「北韓(北朝鮮の韓国側呼称)撃滅すべし」に豹変し、米軍の攻撃を支持する可能性が高い。その結果は北政権の崩壊だ。北朝鮮から見て、日本やソウルという“人質”は、無傷だからこそ使えるカードだといえる。

 これまで北朝鮮は、周辺国の「忍耐の限界」を試すように核実験を行い、弾道ミサイルを発射してきた。米国のもうひとつの選択肢は、その裏返しだ。

 今度はトランプ政権が北朝鮮の「忍耐の限界」を試すという選択肢もある。その限界は、北の核実験施設への巡航ミサイル10発だろうか、あるいは弾道ミサイル製造施設への60発か、港湾などインフラ施設への爆撃か。北の限界と米軍の目的達成のどちらが早いかは、誰にもわからないチキンレースだ。

 だが、幸いなことに最も平和的な解決案が進行している。現在トランプ政権が推す、中国による解決がそれだ。朝鮮戦争で義勇軍を出し、多くの犠牲を払いながらも旧ソ連の影響力を色濃く受けていた北朝鮮に対し、いまや唯一直接的な影響力を行使できる立場にある中国は、この“機会”を有効活用するのではないか。
=以上=


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